浄土真宗本願寺派多摩組 オフィシャルウェブサイト

組報「多摩」2001年度 第01号

組報発刊によせて

浄上真宗本願寺派多摩地区の寺院は、26ケ寺ございます。法話会や色々な行事が、あらゆる場所で行われています。「お寺は敷居は高いから」と敬遠なさらずに、思い立った時に、仏様のすばらしいお話をお聞き下さい。また、郷里にお寺のある方や霊園に墓地をお持ちの方、お近くの寺院にご縁を頂いてご本堂にお参り下さい。
この組報は、僧侶とご門徒の協力を得て発刊させて項きました。皆様のお育てを賜り、さらに充実を期して参りますので、よろしくお願い致します。

多摩組組長 伊東 道雄

法話「本願・本尊・信心・お念仏」

 浄土真宗の法話には普段あまり便われない言葉が多く出て来ます。
 本願、本尊、信心、お念仏・・・法話を聞きなれないうちは違和感があって入口で戸惑ってしまうこともあるかもしれません。
 先にあげた言葉はどれも、仏様、阿弥陀様が私たちに向けられたお心のいろいろな姿とお考えください。
 これは、知人が入院した時のことを思い出していただくと分かりやすいかもしれません。
 知人が病院に入院しています。私たちは心配してお見舞いをします。その時に手ぶらではなく、花や果物やあるいは本など見舞の品を持参しますね。
 この、病人を見舞わずにはおけない、というのが仏様のお心、「本願」です。病人はいうまでもなく私たち。自分は健康なんだとあぐらをかいて他を傷つけていることに気づかない私は、仏様の目からはかなりの重病人に映っているかもしれません。そして、お見舞いの心を形にして届けてくださったのが「本尊」です。
 ここで、あまり形にとらわれないように御注意ください。お見舞い品も形にこだわると、この果物はずいぶん安くあげたな、けちな奴だ、とか、この花はパラが何本だからはりこんだな、お返しが大変だ、とか余計なことに気が回ってしまいます。
 そうではない、物をいただいたのではなく、気持ちをいただいたのだと心にすとんと収まったとき、形を超えた本当のあたたかさが知らされます。それが「信心」です。気持ちをいただいたんだ、と本当に頭が下がった時に素直に出るのは「ありがとう」という言葉ですね。「南無阿弥陀仏」という「お念仏」はまさに、私の心に仏様の心が届きました、ありがとう、という応答と言ってよろしいでしょう。
 では、お念仏を称えるのは本当に頭が下がるようになってからなのか、それからでないとお念仏は称えられないのか、と疑間をお持ちになられることもあるでしょう。
 いいえ、迷ったら迷った中で、疑いがあれば疑いの中で、どうぞお念仏をお称えください。
 私の口からでるお念仏はそのまま仏様の言葉でもあります。私の口を借りて届けられた仏様のお心が明らかにする私の在りようを、どうぞお寺にお参りになってお確かめください。

延立寺住職 松本 智量

多摩組サマーキャンプ

 昨年は、「サマーキャンブ・イン・大月」と銘打って、山梨県大月市の「金の森山荘」を会場に、45名の子供達の参加を項きました。
 最初、見知らぬ場所で過ごす不安感などで、小さくなっていた子供達が、山荘に着く頃にはみな友達になり、元気いっぱい走り回っていました。直接のリーダーには、若手僧侶・ボーイスカウトのリーダーや幼児教育専攻の女子学生達があたり、多方面での対応ができるように配慮しています。
 また、プログラムは、竹細工などのクラフト、川遊ぴ・キャンプファイヤー・パーベキュー・昼食のカレー作りなどを盛り込み、朝のおつとめ・法話・讃仏歌などを通して、仏さまのお話を聞いて項きます。最後には、近隣のお寺に会場を移し閉会式を行い、参加者ひとりひとりに終了の証と参加記念品を授与します。
 家庭とは違った環境の中で、子供達になにかしら感じとって欲しいと念願し、本年も企画が進んでおります。

 お寺のキャンプ  さかい りか

8月6日に、お寺のキャンプにいったよ。
さいしょついて 竹のコップをつくったよ。
のこぎりも つかったよ。
のこぎりは じ分でつかったよ。
竹のコップに えをかいたよ。
それから おべんとうを食べたよ。
よるは、バーベキューをしたよ。
ねるときは となりがうるさかったよ。
あさは おにぎりを食べたよ。
その日は 竹のけん玉をつくったよ。
そして、かえったよ。
でもそのまえに おかしとおみやげを4つも
もらったよ。
たのしかったです。
また 行きたいと おもいます。

多摩組連続研修はじまる

 宗門では、御同朋の社会をめざして、基幹運動(門信徒会運動・同朋運動)を教団をあげて強力に推進しています。基幹運動とは、僧侶ならびに門信徒が、共にみ教えを聴聞し伝える(門信徒会運動)なかから、すべてのいのちを尊重し認め合う、御同朋の社会の実現(同朋運動)に向かっての営みであります。この運動は、宗祖親鸞聖人があきらかにされた、他力の信心に生かされる念仏者として、社会に歩みを進める営みでもあります。
 多摩組では、2001年度に第5期の連続研修会をスタートしました。研修会の中で、様々な社会問題や家庭や職場での苦しみ悩みを共にし、親鸞聖人のお示しになったみ教えに学び、そのみ教えを通して共に歩み、ぞれぞれの自己の生きざまを見つめて、すべてのいのちと共に有り続けることを、学んで行きたいと思います。たくさんの皆様のご参加を、お待ちしております。
 (詳しくは各寺院にお間い合わせ下さい。)

お寺を訪ねて「圓成寺(町田市鶴間)」

 渋谷から延びる東急田園都市線を南町田駅で下車し、徒歩15分程で圓成寺の伽監が見えてきます。パスでは町田駅前から鶴間行に乗り「圓成寺前」で降りると、多摩の真宗寺院には珍しい大きな鐘楼と、三人抱えほどの見事な桜の木が出迎えてくれます。田園郡市線の開通とともに、最寄りの南町田駅周辺は開発され、「グランベリーモール」というアウトレットショッピングセンターやフランス資本のショッピングセンター「カルフール」などが開店し、特に休日には多くの人々が訪れます。

 圓成寺は、1580年代(天正年間)に、元小田原北条家の待であった了雲が開基したと伝えられています。ちょうど織田信長と本願寺一門の石山戦争の時代であったと承りました。
 現住職は、第18代圓城知道(まどぎちどう)師(29才)です。師は、激動する時代に、フレッシュな感覚と行動力で、ご門徒と協力してお寺を護り、教化活動を展開されておられます。16世紀後半の製作と伺った、聖徳太子のお木像が安置されている本堂は、椅子席となっており、生活様式の変化とともに座る機会の少なくなった若者や、高齢のご門徒のお参りに配慮されています。
 元旦会・彼岸会・お盆・報恩講などの恒例法要には、毎年著名な御講師をお招きし法座が開催されていると伺いました。知道師は、毎月の定例法座に新しい参拝者を増やすことと、法事以外にもお寺に親しみ楽しんでいただける「集いの場」づくりに努カしておられます。少子・高齢化の進展は、これからのお寺の運営に少なからず影響を与えることでしょうが、若い住職の新たな試みが、時代の変化を乗り越える力となると確信いたしました。
 町田市忠生に、圓成寺出張所が設置されております。(住所は寺院名簿参照)

なぜなにQ&A

報恩講とは

 報恩講(ほうおんこう)とは、浄士真宗のみ教えを開いて、お示し下さった宗祖親鸞聖人のご苦労を偲んで営まれる、一年でもっとも大切な法要です。親鸞聖人がご一生をかけて、私たちの生きる拠り所となるお念仏のみ教えを明らかにされ、今に伝えてくださったご恩に感謝し、お念仏のみ教えに生きる私たちの、さらなる聞法生活への誓いをあらわす重要な法要です。
 京都本山の西本願寺では、毎年1月9日から聖人のご命日の16日までの8日間、「御正忌(ごしょうき)報恩講」がつとめられます。多摩組寺院のほとんどは、1月の本山の御正忌報恩講に参拝できるように、10月から12月の間に報恩講をおつとめします。お近くの寺院の報恩講には、ご家族お誘いあわせてご参拝ください。また、是非ご家庭での報恩講もお勤めください。

般若心経をあげない理由

 「般若心経」は数あるお経の中でもっともポピュラーなもので、写経といえばほとんどこのお経がもちいられています。これほど大衆的なお経を浄土真宗であげない理由は、出家による菩薩の道が説かれているからです。
 菩薩とは、長い修行を通し、やがては仏(如来)となって人々を救うという願いを持ったお方であります。そこで『般若心経』では、菩薩の修行によって得られる智慧(般若)の完成をもっとも重要なものとし、この智慧によって迷いが去り、仏の悟りに到達できると説くのです。
 浄土真宗の宗祖親鸞聖人が比叡山を降り、法然上人との出遇いによって得られたものは、出家し修行をする菩薩への道ではなく、普段の生活の中で、ただひたすら如来の智慧の念仏のはたらき(他力)を信じるところに、救われる道が開かれるみ教えでした。